Pulldownit 6 for Maya がリリースされました。

Maya向けPulldownit 6では、新たな破壊機能とパフォーマンスや操作性の面で重要なアップデートが施されています。この新バージョンのプラグインは、高速な調整と繰り返しの作業に重点を置き、モデルの破壊効果を素早く完成度の高い仕上がりにするための簡単な破砕の微調整を実現します。

この目的のために、新たにEdge Fracture Toolが追加されました。選択した破片の内側の境界部分に簡単に欠け(チッピング)を生じさせることができるツールです。このツールはインタラクティブに動作し、選択した破片を再度破砕してすぐにシミュレーションを再生できるうえ、非破壊的なので、直前の操作を取り消したり、オリジナルの破砕状態にいつでも戻すことが可能です。さらに、生成される破片数を確認できるため、ポリゴン数の上限を超えないよう管理しやすく、特にリアルタイムエフェクトの制作に便利です。

同様のコンセプトで、カットマテリアル(cut material)の差し替えも破壊シーンの任意の段階で行えるようになりました。シミュレーションキーをベイクした後でも適用可能で、ジャギー破片(jaggy fragments)にも対応しています。さらに、新しく作成されるマテリアルには異なるベースカラーが設定されるため、どの破片が影響を受けたのかすぐに確認できます。

ダイナミックなロングクラック(長いひび割れ)は改良され、石のような素材により近いリアルな結果が得られるようになりました。また、数千個のインスタンスシェイプを含むダイナミクスの計算は最大30%の高速化が実現しています。

フラクチャクラスター(Fracture clusters)には新しいパラメータが追加され、オブジェクトがどのタイミングで、どのように破壊されるかをより細かくコントロールできるようになりました。

そのほかにも便利なUIの改善がいくつか施されています。以下に概要をまとめていますが、修正点の全リストについてはPulldownitのバージョンログページでご確認いただけます。

Pulldownitウェブサイトのバージョンログで修正リストをすべて読む(英語)

ライセンスをお持ちのユーザーの方は、アカウントからPulldownit 6.0にアクセスできます。また、ThinkineticのウェブサイトにはMaya 2025向けのデモ版も公開されています。

Shatter(粉砕)ツールの新機能

New Edge Fracture Tool
新しいツールで、選択した破片の内側境界部分に視覚的に欠けを作成できます。インタラクティブに動作し、非破壊的なので、破片を再度破砕してすぐにシミュレーションを再生でき、直前の操作を取り消したり、いつでも元の破砕状態に戻すことが可能です。

  • Improved path based shatter quality
    パスベースの破砕(path based shatter)は、パスに沿って丸みを帯びた破片を生成するようになり、石のような素材におけるダイナミクスでよりリアルな結果を得られるように改良されています。

  • Auto replace cut material supports jaggy fragments
    自動でカットマテリアルを差し替える機能がジャギー破片にも対応しました。破壊シーンの任意の段階で適用でき、選択したシャッターグループ(shatter group)のみを対象とし、ジャギー破片やベイクされたフラクチャオブジェクトにも適用可能です。さらに、新しく作成されるマテリアルには異なるベースカラーが設定されるため、どの破片が影響を受けたかを簡単に確認できます。

Dynamicsの新機能

Instanced rigid bodies faster performance
インスタンス化されたシェイプを含むリジッドボディの計算が最大30%高速化し、数千のシェイプを数分でシミュレーションできます。

  • Fracture Body「Relative to Mass」機能が「hardness」に適応
    モデルを脆く設定して衝突面により多くの破片を出したい場合など、質量に対して破壊の起こりやすさ(硬度)が簡単に調整できます。

  • Improved Clusterize pattern
    クラスタライズパラメータが改良され、オートクラスタを使ったオブジェクトの破壊で生じがちなブロック状の見た目を排除し、ランダムなクラスターを生成します。さらに、静的なサーフェスと衝突する領域では自動的に破壊が促されるようになり、追加の調整なしで自然な破壊を実現します。

  • New cluster option「Excluded from Cracks Propagation」
    この新しいパラメータは、クラスターが直接の衝突以外では破壊されないようにします。亀裂の伝播や全体に影響する力場によって、フラクチャボディ全体が先に分離してしまうのを防ぎます。

  • New cluster option「Relative to Mass」
    小さな破片と大きな破片を含むクラスターにおいて、最初に欠けの起きやすい領域(チッピング部分)から破壊を優先するようになります。これがクラスター作成のデフォルト設定になりました。

UIの機能強化
  • どのフラクチャイベントにも「current frame」を設定できる新オプション
    Mayaのタイムスライダーをドラッグして任意のフレームに移動し、イベントの「ST」ボタンをクリックするだけで、そのフレームをフラクチャイベントの開始フレームとして設定できます。

  • どのリジッドボディイベントにも「current frame」を設定できる新オプション
    同様に、リジッドボディイベントの「ST」ボタンをクリックするだけで、現在のフレームを開始フレームとして設定できます。

  • どのクラッカーイベント(cracker event)にも「current frame」を設定できる新オプション
    同様の手順で、クラッカーイベントにもフレームを設定できます。

  • リジッドボディの初期速度/回転のシードを変更する新オプション
    乱数パラメータの横にある新しい「NS」ボタンをクリックすると、選択されたすべてのリジッドボディに対して、初期速度と回転のシミュレーションを別のシードで再生できます。

  • フラクチャボディにランダムな速度/回転を追加する新オプション
    フラクチャボディにも同様にランダムな速度や回転を付与できます。

  • フラクチャボディの初期速度/回転のシードを変更する新オプション
    乱数パラメータの横にある「NS」ボタンをクリックして、選択されたすべてのフラクチャボディの初期速度/回転のシミュレーションを別のシードで再生できます。


Pulldownitについて

建物の崩壊・破砕をシミュレートするプラグイン
Pulldownitは、破砕の作成だけでなく大量のリジッドボディシミュレーションを行うことができる最新のダイナミクスソルバです。この技術を使えば、デジタルアーティストの方は、建物の倒壊やサーフェスのヒビ割れ、またはあらゆる種類の脆弱なマテリアルの破砕を高速かつ簡単にシミュレーションすることができます。

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