RenderMan バージョン27に関する公式FAQ

一般的な質問

一般的な質問
RenderMan 27とは何ですか?
RenderMan 27はPixarが発表した最新のリリースです。XPUによる最終フレームレンダリング、マルチGPU対応、インタラクティブなノイズ除去、Deepコンポジットワークフロー、そしてシェーディング機能の拡張が盛り込まれています。このリリースでは、将来のレンダリングエンジンをXPUに移行する方向性が示されており、RISはメンテナンスモードのまま維持されています。
RenderMan 27で最も大きな変更点は何ですか?
最も重要なアップデートには、XPUによる最終フレームレンダリング、インタラクティブなノイズ除去、Deep OpenEXRを用いたワークフロー、スタイライズドレンダリングの改良、およびMaterialX Lamaサポートの拡充が含まれます。さらに、マルチGPUレンダリングが新たに利用可能となり、大幅なパフォーマンス向上を実現しています。
RenderMan 27でもRISは引き続きサポートされますか?
はい。RISは引き続き利用可能ですが、現在メンテナンスモードに移行しつつあります。Pixarでは今後のアップデートがXPUの性能と機能に注力されるため、スタジオにはXPUへの移行を開始することを推奨しています。
XPUはRISを完全に置き換えるようになりましたか?
Pixarではほとんどの制作現場でXPUを採用することを推奨しています。現在のXPUは最終フレームレンダリングが可能で、以前はRISでのみ利用できた主要なプロダクション機能のほとんどをサポートしています。ただし、RISで使われている一部の高度なシェーディングワークフローについては、XPUで再現するために調整が必要となる場合があります。RISは当面サポートされますが、将来のリリースで非推奨となる予定です。
RenderMan 27はどのオペレーティングシステムで動作しますか?
RenderMan 27はWindows 11以降、Linux EL9、およびmacOSで動作します。
(macOSは現時点ではRISのみサポートで、XPU対応は進行中です)

XPUとパフォーマンス

XPUとパフォーマンス
XPUとは何で、なぜ重要なのですか?
XPUはRenderManのCPUとGPUを併用するハイブリッド型レンダリングエンジンで、両方のリソースを活用してパフォーマンスを最大化するよう設計されています。従来よりも高速で、よりインタラクティブに動作し、最新のハードウェアに最適化されています。
XPUはRISと比べてどのくらい速いですか?
XPUはレンダリング時間を大幅に短縮します。特にインタラクティブなワークフローや最終フレームのレンダリングでその効果が顕著です。ベンチマークによれば、多くの場合でレンダリングが2倍から10倍高速化されています。ただし、この性能向上の度合いはシーンの複雑さやハードウェア構成によって異なります。
XPUではマルチGPUレンダリングに対応していますか?
はい!RenderMan 27でマルチGPUサポートが導入され、複数のGPUを同時に活用してさらなるパフォーマンス向上が可能です。ただし、シーンデータは各GPUのメモリに収まる必要があります。
XPUにおけるGPUやハードウェアの制限はありますか?
XPUはNVIDIA製GPUおよびCUDA向けに設計されています。他メーカーのGPUサポートについても、業界のパートナーと協力して現在積極的に検討中です。
XPUの使用にはハイエンドのワークステーションが必要ですか?
いいえ。XPUは高性能なGPUを使用することで恩恵を受けますが、CPUのみのレンダリングを含む様々なハードウェア構成でも動作するよう設計されています。
GPUのメモリがシーンに足りない場合はどうなりますか?
答えはXPUの名称にある「X」に表れています。GPUに十分なメモリがない場合でも、CPUでシーンをレンダリングすれば、GPUと全く同じ描画結果が得られます。
XPUをバッチモードで使うには、GPUを満載したレンダーファームを購入する必要がありますか?
その必要はありません。XPUはCPUとGPUのいずれでも同じ描画結果を生成できるため、インタラクティブなライティングにはGPU搭載マシンを使用し、一方でバッチレンダリングには既存のCPUベースのレンダーファームを利用できます。どちらを使っても結果は同じになります。

コンポジットとルックデベロップメント

コンポジットとルックデベロップメント
RenderMan 27ではどのようなコンポジット機能が新しく導入されていますか?
RenderMan 27では、RenderMan XPUがコンポジット機能を拡張しており、ホールドアウト、マット、Deep OpenEXRでのIDサポート、さらにAOVやLPEのワークフロー拡張に対応しています。なお、Cryptomatteのサポートはもう少し遅れて追加される予定です。
スタイライズドレンダリングは改善されましたか?
はい!Pixarのスタイライズド機能「Stylized Looks™」がXPUでサポートされ、レンダラー内で絵画調やトゥーン調などアーティスティックな効果を直接適用できるようになりました。また、「Painterly Brushes」や「Normal」といった新機能により、クリエイティブなルックの幅もさらに広がりました。
RenderMan 27ではMaterialX Lamaは完全にサポートされていますか?
MaterialX LamaはXPUでサポートされており、業界標準化されたシェーディングワークフローが可能になります(MaterialX LamaはIndustrial Light & Magicによって開発された技術です)。RenderMan 27.0ではMaterialX Lamaは「早期アクセス版」として提供されています。XPUにおけるMaterialX LamaにはRISとの間で見た目にいくつかの違いがありますが、これらは今後のドットリリースで対処していく予定です。また、現時点ではlobename、userLobeName、matteに対応していないため、こうしたカスタマイズを使用するパイプラインではデノイザが適切に機能しない可能性があります。これらの差異もVersion 27のリリースサイクル中に解消される予定です。
RenderMan 27では一般的なMaterialXは完全にサポートされていますか?
RenderMan 27のドットリリースで、RenderMan XPUはオープン標準のマテリアルフォーマットであるMaterialXをネイティブにサポートする予定です。これにより、アーティストはAcademy Software Foundation(ASWF)が策定したプラットフォーム非依存のルック開発用ディスクリプションを利用できるようになります。ただし、対応は特定のDCCツールのみに限定されます。

統合と互換性

統合と互換性
RenderMan 27はどのDCCツールをサポートしていますか?
RenderMan 27はAutodesk Maya、Foundry Katana、Blender、およびSideFX Houdiniに対応しています。また、HoudiniのOpenUSDツールであるSolarisもサポートしています。
RenderMan 27は業界標準に準拠していますか?
はい。RenderMan 27はVFXリファレンスプラットフォーム2024に完全準拠しており、主要な業界ツール間での互換性を確保しています。
RenderMan 27はAppleシリコン(Apple Silicon)プロセッサをサポートしていますか?
はい。RenderMan 27のRISモードは、R27のドットリリースでApple Siliconをネイティブサポートする予定で、macOS上でARMプロセッサを利用できるようになります。RenderMan XPUのApple Silicon対応は将来のリリースで提供される予定です。

RISからXPUへの移行

RISからXPUへの移行
すぐにRISからXPUへ切り替えるべきでしょうか?
PixarではXPUへの移行を開始することを推奨しています。今後のアップデートが主にXPUの開発に集中するためです。ただし、レガシープロジェクト向けには引き続きRISを利用できます。
XPUにはRISと比べて不足している機能はありますか?
XPUは現在、主要なプロダクション向けワークフローのほとんどをサポートしています。しかし、ベイキングのワークフローや双方向パストレーシングなど、RISの一部の特殊な機能にはまだ直接対応するものがない場合があります。何百、何千、さらには何百万ものライトを扱うためのサポートは、今後のメジャーリリースで追加される予定です。また、Cryptomatteやレンダリング再開機能(Resume)、およびMaterialX LamaにおけるXPUとRIS間の見た目の差異を解消する修正などは、今後のドットリリースで提供される予定です。XPUがRISと異なる点の完全なリストについては、公式ドキュメントをご参照ください。
RISに今後さらなるアップデートはありますか?
RISには今後もバグ修正や保守対応が継続されますが、新たな開発はすべてXPUに集中します。

価格とライセンス

価格とライセンス
RenderMan 27の価格はいくらですか?
RenderMan 27は、¥137,000 税別(初年度メンテナンス含む)です。
RenderManに無料版はありますか?
はい!学生、個人のアーティスト、研究者向けにNon-Commercial RenderMan(非商用版RenderMan)が無償で提供されており、Version 27もすでにダウンロード可能です。
RenderMan 27はどこからダウンロードできますか?
RenderMan 27は公式サイト(renderman.pixar.com)(英語)からダウンロードできます。
RenderMan 27のサポートはどのように受けられますか?
サポートが必要な場合は、renderman.pixar.com/support(英語)をご覧ください。
ライセンスに関するお問い合わせは、info@indyzone.co.jp までご連絡ください。

最後に

RenderMan 27は、過去10年以上で最も重要なリリースであり、画期的なパフォーマンス、インタラクティブ性、そして創造的な自由度を提供します。XPUによる最終フレームレンダリング対応、Deepコンポジットワークフロー、拡張されたシェーディング機能、そしてRISからの移行計画により、Pixarは高品質な長編アニメーションやVFX向けのレンダリング技術を再定義し続けています。
詳細についてはこちら(英語) をご覧ください!

RenderMan 27 Feature Reel
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