Pixar RenderMan XPU™ について全3回にわたり掲載します。
今回は第1回目、RenderMan XPU™のメリットや使用要件等について紹介しています。
ピクサーの新しいハイブリッドCPU + GPUレンダリング技術
ピクサーの新しいハイブリッドCPU + GPUレンダリング技術「XPU」は、RenderMan 24で最初のデビューを果たしました。この次世代レンダリングエンジンはPixar内部ですでに採用されており、ルックデベロップメントとシェーダオーサリングに焦点を当てたRenderManユーザーに提供されます。
これまでのRISエンジンやその他のレンダラーとは違い、GPUとCPUを融合させたフルコンピューティングパワーをレンダリングに使用できるような設計になっています。
RenderMan XPU™はシェーダーオーサリングとアセットルック開発に合わせて調整されており、RenderManのBXDFとパターンから、デスクトップシステム内のCPUとGPUのフルパワーと融合したクリエイティブなコントロールと柔軟性をすべてアーティストに提供し、美しく感情的なシェーダとアセットを作成しました。
RenderMan XPU™は、Maya・katana・Houdini・Blenderに統合されています。
RenderMan XPU™のメリット
RenderMan XPU™のメリットは何よりもそのスピードです。一般的なパストレーシングレンダラーの場合、CPUか、もしくはGPUでしか計算できません。GPUはその構造上CPUより高速に計算することができますが、GPUにデータを受け渡すまでの処理はCPUが担っているためCPUにもパフォーマンスが求められる一方、データ受け渡し後はGPUしか稼働しないためCPUは仕事をしていない状態でした。しかし、RenderMan XPU™はCPUとGPU両方のコンピューティングパワーを合算して使用するため、持てるパフォーマンスをフルに発揮させることが可能となります。
RenderMan XPU™使用要件
RenderMan XPU™はハイブリッド レンダリング エンジンです。それは3つのモードで実行することができます:
- CPU のみ
- GPUのみ
- CPU + GPU
サポートされているハードウェアとプラットフォームの詳細については、以下を参照してください。
ハードウェアとプラットフォームの要件
CPU
RenderMan XPU™はAVX 命令セットをサポートする CPU を必要とします。
ハイブリッド(CPU + GPU)処理には、最低16GBのRAMを推奨します。
GPU
GPU アクセラレーションの場合、RenderMan XPU™はNVIDIA グラフィックス カード(Quadro・Tesla・データセンター用GPU)をサポートしており、Maxwell以降の アーキテクチャが必須となります。
複雑なアセットを扱う場合は、最低 24 GB の VRAM を搭載したビデオカードの使用をお勧めします。
オペレーティング システム
RenderMan XPU™ は、適切な NVIDIA グラフィックス ドライバがインストールされている 64 ビットの Linux および Windows システムでサポートされています。
RenderMan XPU™パイプライン
次の図は、XPU → RIS パイプラインを提案しています。
RenderMan XPU™の最初のリリースでは、インタラクティブな動作でルックの開発をサポートするように調整されているため、レイアウト以降でのライティングや最終レンダリングではこれまでどおりRISを使用することが推奨されています。つまり、現状のXPUではプロダクションレンダリングの使用には向いていない点がありますが、今後のリリースにより最終的には今までのレンダリングエンジンに取って代わるものとなっていくでしょう。
次回の記事では、実際にRenderMan XPU™の検証を行っていきます。
RenderManについて
RenderManはハリウッド映画において、実写合成やリアリティを優先したプロフェッショレンダラーです。常にトップクオリティが求められるハリウッドニーズと技術が凝縮しています。RenderManは特に3Dアニメーションと視覚効果(VFX)のレンダリングにおいて大きな目標を達成するために設計されました。その結果RenderManは高速で効率よく最先端の機能を提供すると共に複雑なジオメトリを大量に取り扱うことができます。