RenderMan 24
RenderManバージョン24は、長編映画アニメーションおよびVFX向けのルックデベロップメントワークフローを向上させる一連のすぐれたツールを提供します。まず最初に、大いに期待されたPixar社のRenderMan XPU™が登場します。これにより、GPUの処理能力を利用して信じられないほど直観的にマテリアルを作成することができるようになります。さらに、Industrial Light & Magic社との連携により、最高品質のフォトリアルなサーフェスを作成する新しいモジュラーシェーディング技術を導入しました。また、RenderMan Stylized Looks™により、イラストやアニメなど、まったく新しい外観を作成することができます。バージョン24では、さらに多くの機能が提供され、これまでに発表されたRenderManの中で最も重要なリリースの1つになります。
RenderMan バージョン24は、メンテナンス契約が有効なお客様はダウンロード入手が可能です。
リリースハイライト
XPU™— Pixar社のハイブリッドCPU + GPUレンダリング技術は、フィルムプロダクションアセットでの速度と効率を上げるためにリライトされた次世代のレンダリングエンジンです。この初期段階のXPUは、シェーディングアーティスト向けにルックデベロップメントを加速させることにフォーカスしています。
Lama — Industrial Light & Magic社で開発された最先端のマテリアル階層システムは、モジュラーアプローチをマテリアルネットワークの構築に導入するもので、これには光の分散およびエネルギー保存に関する新しい開発が含まれています。
Stylized Looks™—物理ベースのシェーディングおよびライティングを超えて、プロジェクト向けにさまざまなスタイルを簡単に作成することができます。従来と同じツールセットを使用しながら、アウトラインを非破壊的に制御し、スケッチパターンを作成し、アニメなどの広範囲にわたるユニークな外観を開発することができます。Stylized Looksは、RenderManの商用バージョンでのみ利用可能です。
OpenColorIO—業界標準のACESカラーマネジメントだけでなく、インタラクティブなRenderMan Image Toolなど、すべてのブリッジ製品でその他のカラースペースを確実にサポートします。
Live Statistics —インタラクティブ性および拡張性を重要視して統計システムを完全に再設計した結果、レンダリングリソースの使用をライブで監視することができるようになりました。
新しいパターン—ルックデベロップメント向けのさらに多くのアーティスティックオプションを提供できるように引き続き取り組んでいます。このリリースでは、実績のあるHex Tiling ManifoldおよびPhasor Noiseが新しく追加されました。
Light Baking —ライティングを2DテクスチャマップやPoint Cloudにベイクすることにより、リアルタイムレンダリングおよびVRレンダリングのニーズを大幅に強化しました。
OSL Patterns — C++パターンの大半をOSLに変換しました。この変換により、RISとXPU間でのコードの共有が可能になり、RenderMan XPU™からのレンダリングがRenderMan RISで表示されるものを表現していることがはっきりと分かります。
C++パターンに対するサポートは変わりませんが、それらはRISでのみ有効になります。
サンプリングの改善—ブルーノイズのディザリングにより、知覚的によりクリーンな画像をより速く取得できるようになりました。
アーティストツールの更新— Autodesk社のMaya、Foundry社のKatana、SideFX社の HoudiniおよびSolaris(LPEおよびAOVを含む)に対するサポートを更新しました。
プリセットブラウザ— LamaおよびStylized Looksのプリセットに対するサポートを追加したため、まもなくその2つのライブラリを取得できる予定です。
RenderMan for Blender —最後になりましたが、最先端のRenderManの新しいプラグインは、オープンソースコンテンツ作成ツールの中で大きな特徴となります。バージョン24のアーキテクチャを最大限に利用するようにリライトされました。
XPU™
CPU + GPUレンダリング用のPixar社のハイブリッドソリューションは、利用可能なコンピューティングリソースを組み合わせて、プロダクションパストレーシングを加速します。マルチコアのCPUおよびGPUハードウェアにおいて、個別の場合でもそれらを併用する場合でも、最新の開発を利用することができるシステムアーキテクチャから始まり、XPUは、Pixar社の長編アニメーションプロジェクトの規模と複雑性を処理できるように開発されました。スタジオでの最初の使用では、きめ細かいルックデベロップメントにフォーカスしました。さらに多くの機能が今後のリリースで実装される予定です。XPUが完全なプロダクションレンダラーとして、いずれはRISに取って代わるようにする予定です。バージョン24では同様に、この初期段階のXPUも、ルックデベロップメント向けに位置付けられ、レンダラーはマテリアルの作成に対する十分な機能を有しています。ただし、この限定された機能セットは、プロジェクトの範囲やサイズに応じて、レイアウトやアニメーション、または最終フレームにおいてでも役割を果たしている可能性があります。
アーティストの体験を強化する
RenderManバージョン24では、ルックデベロップメントに主要なアップグレードを行い、アーティストのワークフローを改善し、クリエイティブなプロセスを補完する多数のツールを追加しました。改善されたマテリアル作成に関する主要機能は以下のとおりです。
XPU
プロダクションのルックデベロップメントにフォーカスした機能セットを備え、XPUは、対象がハードサーフェス、スキンまたはヘアであっても、すばやく滑らかなマテリアルを作成できるように設計されています。シーンのコンテキスト内でオブジェクトをシェーディングし、承認を得た後、RenderMan RISに送信することで、知覚的に同一の最終フレームを得ることができます。
物理ベースのマテリアルについては、特にルックデベロップメントワークフローでACESの新しいColor Managementサポートと併用する場合、これほど簡単に処理できることは今までありませんでした。
Lama
Lamaはモジュラーレイヤーマテリアルシステムで、物理ベースのルックデベロップメント向けにトップクラスの機能を提供します。Industrial Light & Magic社との緊密な協力により、マテリアル作成の高度なシステムについては、最も大掛かりな長編映画のVFXのいくつかで戦闘シーンのテストを行いました。
Stylized Looks
革新的なStylized Looksのツールセットにより、RenderManはフォトリアリズムを超越した画像を提供することができます。漫画やイラストのような画像をレンダリングすることができます。このフレキシブルなシステムにより、ユニークな外観を作成することが可能になり、想像力次第でいくらでも展開することができます。
ルックデブに関するその他の新機能は以下のとおりです。
- Dispersion —新しいレイヤーマテリアルシステムは、屈折オブジェクトに対する洗練された多彩なフリンジ効果をサポートしています。
- USD —hdPrmanには、HoudiniのSolarisやUSDViewなど、互換性のあるすべてのHydraビューアでのLPEおよびAOVのダイナミックレンダリングが含まれます。
- Bump Roughness —これは、スクラッチのような微細なディテールを効果的にレンダリングできるように、Pixar Animation Studiosで開発された革新的なシステムです。
- Bloom —RenderMan’s Image Tool (IT)向けのこの物理ベースのツールを使用して、ライブレンダリングに閃光やブルームを直接追加することができます。
- ive Statistics —ルックデベロップメントは、リアルタイム統計により補完されるようになり、シェーダの編集がパフォーマンスにどのように影響するかについてフィードバックを即座に受けることにより、シーンを効率よく迅速に維持することができます。
追加のサポート
RenderManバージョン24では、ルックデベロップメントに主要なアップグレードを行い、アーティストのワークフローを改善し、クリエイティブなプロセスを補完する多数のツールを追加しました。改善されたマテリアル作成に関する主要機能は以下のとおりです。
RenderManバージョン24には以下の項目も含まれます。
- OpenVDB—OpenVDB 6.2.1をサポートしました。
- OpenEXR—バージョン2.3に更新されました。
- APIの更新—プラグインAPIおよびデベロッパリソースを変更しました。
- VFX Reference Platform 2019 —すべてのプラグインは新しい標準に更新されました。
- Maya 2022 —初期サポートを行いました。Maya 2022の(USDのような)特定の機能については、まもなく完全にサポートする予定です。
RISとXPUの機能マトリックス
初期段階のXPUでは、ルックデベロップメントの完全な機能セットを提供します。まだサポートしていない機能がありますが、XPUが成熟しRISに取って代わることになればサポートできるようになります。ここでは、これらの機能について大まかにまとめます。XPUとRIS間の比較機能に関する総合リストについては、ドキュメントを参照してください。ドキュメントは、新機能が追加されるごとに継続して更新されます。
RIS | XPU | |
BxDFsおよびパターン | ||
PxrSurface | ✅ | ✅ (一部のサブサーフェスモードは使用できません) |
PxrLayerSurface | ✅ | ✅ |
PxrDisneyBsdf | ✅ | ✅ |
PxrMarschnerHair | ✅ | ✅ |
PxrConstant | ✅ | ✅ |
Lama | ✅ | ✖ |
Volumes | ✅ | ✖ |
OSL Patterns | ✅ | ✅ (PxrDirtおよびPxrCurvatureはサポートしていません) |
C++ Patterns | ✅ | ✖ |
Baking | ✅ | ✖ |
Point Clouds | ✅ | ✖ |
ジオメトリ | ||
Subdivision Surfaces | ✅ | ✅ (Catmull-Clarkのみ) |
Polygonal Surfaces | ✅ | ✅ |
NURBS | ✅ | ✖ |
Curves | ✅ | ✅ |
Points | ✅ | ✅ (一部の機能は使用できません) |
Quadrics および Blobbies | ✅ | ✖ |
Nested Instancing | ✅ | ✖ |
ライティング | ||
Analytic Lights | ✅ | ✅ (PxrEnvDaylightおよびPxrCylinderLightは使用不可。一部のライトのパラメータは使用できません) |
Mesh Lights | ✅ | ✖ |
Light Filters | ✅ | ✖ |
Light Linking | ✅ | ✖ |
多数のライトへのScalability | ✅ | ✖ |
インテグレーション&レイトレーシング | ||
PxrPathTracer | ✅ | ✅ (一部の機能は使用できません) |
PxrUnified | ✅ | ✖ |
PxrVisualizer | ✅ | ✅ (一部の機能は使用できません) |
Trace Sets | ✅ | ✖ |
ポストプロセシング | ||
Sample and Display Filters | ✅ | ✖ |
パイプライン | ||
AOVs and LPEs | ✅ | ✖ |
EXR, TIFF | ✅ | ✅ |
Deep Output | ✅ | ✖ |
Holdouts | ✅ | ✖ |
学習
RenderManチームは、よりよい方法でRenderManを提供し、新規のユーザから経験豊富なユーザまですべてのユーザ向けのコミュニティへの参画およびサポートを改善するように取り組んでいます。
- 新しいアート課題の告知— Pixar社のRenderManは、新しいアート課題でAdobe社と提携しており、業界で最も愛されているマスコットであるSubstanceのMeetMatとPixar社のRenderMan Walking Teapotを採用しました。
- RenderManの基礎—Pixar社は新しいトレーニングシリーズを最近公開しました。新しいトレーニングパートナーと社内の尽力により、専門家からRenderManを詳しく学ぶことができます。https://renderman.pixar.com/renderman-fundamentals
アプリケーションの互換性と必要条件
RenderManには、完全なSSE4.2命令セットを実行することができるCPUが必要です。RAM 8GB以上を推奨します。
RenderManは、以下の64ビットオペレーティングシステムに対応しています。
- Linux CentOS/RHEL 7.2+
- Windows 10
- macOS 10.14および10.15.
RenderManは以下のDCCにも対応しています。
- Houdini 17.5, 18.0および18.5
- Katana 3.2, 3.5, 3.6および4.0
- Maya 2019, 2020および2022
- Blender 2.83+
RenderMan XPU™は、以下の64ビットオペレーティングシステムに対応しています。
- Linux CentOS/RHEL 7.2+
- Windows 10
RenderMan XPU™は、GPUアクセラレーションモードでは以下に対応しています。
- NVIDIA “Maxwell” アーキテクチャ以上。
追加資料
バージョン24の機能に関する追加情報
- 2020 RenderMan Art & Science Fair —昨年のRenderManオンラインイベントから、RenderManチームによるバージョン24の全機能に関する詳細なプレゼンテーションをご覧ください。
https://renderman.pixar.com/news/renderman-art-and-science-fair-2020 - ACES Color Management — The Academy Color Encoding System (ACES)の公式ページです。
https://www.oscars.org/science-technology/sci-tech-projects/aces - Bump Roughness — microfacetのディテールをメタルおよびペイントでキャプチャするために、『カーズ3』でBump Roughnessがどのように使用されたかが解説されています。
https://renderman.pixar.com/stories/cars-3 - Phasor Noise —ACMのオリジナルプレゼンテーションです。
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3306346.3322990 - RenderManの基礎—Pixar社が高く評価するRenderManの教育リソースは、バージョン24の機能について、さらに多くのレッスンを主催する予定です。以下のサイトをご覧ください。
https://renderman.pixar.com/renderman-fundamentals
カスタマーレビュー
– DNEG Feature Animation ワークフローアーキテクト Paul Baaske氏
– ILM社 Look/Render設計主任 André Mazzone氏
– Laika社 CG管理者 Eric Wachtman氏
– Mikros社ルックデベロップメントアーティスト Fabio Sciedlarczyk氏
RenderManについて
RenderManは、アカデミー賞の受賞実績のあるレンダリングソリューションで、長編映画アニメーション、VFXの他、あらゆる種類のプロジェクト向けにすばらしい画像を作成することに卓越しています。RenderManは、新しい創造的および技術的な課題に対処するために、また、コンピュータテクノロジーにおける最新の進歩を利用するために日々進化を遂げています。
Pixar Animation Studiosについて
The Walt Disney Companyの完全子会社であるPixar Animation Studiosは、アカデミー賞®の受賞実績のある映画スタジオであり、コンピュータアニメーションの分野での技術、創造、制作能力は世界的に有名です。『トイ・ストーリー』、『モンスターズ・インク』、『カーズ』、『Mr. インクレディブル』、『レミーのおいしいレストラン』、『ウォーリー』、『カールじいさんの空飛ぶ家』、『トイ・ストーリー3』、『メリダとおそろしの森』、『インサイド・ヘッド』、『リメンバー・ミー』など、大成功を収め、いつの時代も愛されているアニメーション映画が北カリフォルニアのスタジオで製作されています。これまで40部門ものアカデミー賞を獲得し、世界の興行収入は140億ドルを超えています。Pixar社の第23作目の長編映画『ソウルフル・ワールド』は、現在、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+」にて配信中です。Pixar社の最新作『あの夏のルカ』は、2021年6月18日にリリース予定です。