Felix Gourlaouenは、フランスとイギリスにルーツを持つ3Dアーティストです。幼い頃から絵を描くことを愛し、やがてデジタルスカルプティングの世界と出会ったことをきっかけに、コンピューターグラフィックスの道へと進みました。フランスの美術教育のなかで基礎を育み、CGという複雑で協働的な世界の中で自分の立ち位置を築いてきたFelix。最近では、RenderMan Art Challengeで見事1位を獲得しました。その結果は、彼の努力と、自身の作品を世に問う勇気を物語っています。
今回はFelixに、これまでの歩み、コミュニティから得られるフィードバックの力、そして「優れた作品は、絶えず試行錯誤しながら磨き続ける姿勢から生まれる」という考えについて話を聞きました。
子どもの頃からずっと、絵を描いたり、本や漫画を読んだりするのが好きで、芸術全般に強い関心がありました。フランスでは14歳くらいまで美術の授業があり、高校に入るとそれが選択科目になります。私はその授業を選び、そこでPascal Renardという素晴らしい教師でありアーティストでもある人物に出会いました。3年間にわたって私を導き、芸術の道を目指すよう背中を押してくれた存在です。
当時の私は、自分が何をしたいのかまったく分かっていませんでした。ただ、何か創造的なことに関わりたいという思いだけはあって、彼がその道筋を示してくれたのです。
その後、フランスの3Dアニメーション学校ESMAの存在を知りました。学校のウェブサイトが学生作品だけで構成されていたことが、とても印象に残っています。そこで『Chateau de Sable』という短編映画を見て、「ここだ」と思いました。当時は”アニメーター”という言葉の意味すら自分の中で曖昧でしたが、それでもESMAに進むことを決めたんです。
ESMAはジェネラリスト教育に非常に力を入れていて、学生はRenderManを含め、さまざまな分野を学びながら卒業していきます。そのため、私の1年目はかなり混乱したもので、本当に苦労しました。学んでいることの先に何があるのか、自分が何のために取り組んでいるのか、その目的が見えないまま、大量の課題に追われていたんです。少し立ち止まって考える余裕もなく、成績もかろうじて合格ラインという状態でした。
ところが、1年目が終わったその直後、Annecy映画祭に行ったことで、すべてがつながりました。Framestoreのトークで、『Paddington』や『ハリー・ポッター』、Marvel作品などに登場する素晴らしいクリーチャーのリールを見たんです。それを見て、「待って、こんなことができるのか? 自分がこの1年で学んできたことは、こういうことにもつながるのか!」と衝撃を受けました。
さらに翌日、Sam RowanというアーティストがZBrushを使っているのを初めて見て、「これは一体何なんだ? 絶対にやってみたい」と思いました。帰宅してすぐにZBrushをダウンロードして、それ以来、空いている時間のほとんどをそれに注いできました。
振り返ってみると、あれほど苦しんだ1年目から、最終学年ではクラスのトップになれたことは感慨深いです。本当に遠くまで来たなと思います。スカルプティングの知識を深めるうえでは、Flipped NormalsのYouTube動画にもとても助けられました。
面白いことに、2019年のAnnecyでのその同じ週に、PixarのDylan Sissonによるトークにも参加していました。後日、彼がSNSに投稿した写真の中に、私のパートナーであり、同じくArt Challenge受賞者でもあるNoémie Layreと私が写っていたんです。
期待以上の体験でした。今の自分は、CGの技術的な側面に圧倒されることなく、よりクリエイティブな部分に集中できる段階に来ていると感じていたので、参加するにはちょうどいいタイミングだと思っていました。
テーマが発表されたとき、私はパートナーのNoémieと一緒に友人の家にいて、イルミネーションに照らされたテラスで、夜通しスケッチをしながらアイデアを出し合っていました。今振り返っても、本当に楽しい思い出です。
参加そのものが素晴らしい体験でした。さまざまなスキルレベルのアーティストたちがこのチャレンジに参加していたことに、とても刺激を受けました。始めたばかりの人でも全力で取り組み、作品を公開してフィードバックを求めていたんです。
作品というのは、何か月もかけて作っていても、「まだ完成じゃないし、人に見せてどう思われるだろう」と不安になりがちです。でも参加者たちは、「ぜひ批評してください、来週にはもっと良くします」と言いながら作品を投稿していて、実際にどんどん良くなっていきました。
コミュニティも本当に協力的でした。特に、業界のプロフェッショナルから知恵をもらえるZoomでのフィードバックコールが大好きでした。そこでのフィードバックはいつもとても前向きで、参加者が表現したいアイデアを尊重しながら、それをどう伸ばしていけるかを一緒に考えてくれるものでした。「これはダメだ」ではなく、「どうすればもっと良くできるか」という姿勢だったんです。その違いは本当に大きいと思います。
正直に言えば、審査結果が発表される前から、私にとって参加すること自体がすでに勝利でした。最初はもちろん、勝ちたいという気持ちもありました。でも作業を続けるうちに、「いや、もう十分じゃないか。自分は楽しんでいるし、人も作品を楽しんでくれている。家族や友人も喜んでくれている。それだけで価値がある」と思えるようになったんです。結果は、その上に添えられたちょっとしたご褒美のようなものでした。
「ネット上にある素晴らしい作品を見て打ちのめされるのではなく、『待って、これは本当にすごい。いつか自分の作品もこのレベルに届くはずだ!』と気持ちを切り替えるのが好きなんです。」
私は大の映画好きです。ジャンルを問わず、本当にいろいろ観ます。重厚なドラマやドキュメンタリーも好きですし、気軽に楽しめる娯楽作やMarvel映画も大好きです。物語づくりに関するインスピレーションの多くは、私が観てきた映画から直接得ています。
映画以外では、神話や伝説にも惹かれますし、漫画も今なお大きな刺激源です。漫画の中の一枚の手描きの2Dコマを見て、それをどう立体として成立させるかを考えることは、アーティストとしてとても魅力的な挑戦です。
また、小説もよく読みます。読書をしながら頭の中に思い描いたキャラクターたちを、自分の3Dスキルで形にしていくのが好きなんです。最近はiPad Proを購入したので、PCの前に座っていなくてもスカルプトができるようになり、より気軽に、そして楽しく取り組めるようになりました。
フィードバックには、間違いなく心を開いていなければならないと思います。誰かが何かアイデアをくれたら、最初から退けるのではなく、まずはそれが自分の作品に合うかどうかを考えてみるべきです。
作品に対して、人は必ず何かを感じ、何かを言います。それが技術的な指摘であれ、感情的な反応であれ、好意的なものでもそうでないものでもです。そうした意見を受け入れることは、たとえ最終的に実際の作品へ反映しなかったとしても、必ず作品そのものを豊かにしてくれます。
だからこそ、自分の作品や意図、そこに込めた意味を常に問い直すことが大切です。もしかしたら、まだ十分に伝わっていないだけかもしれません。もし自分の作品を抱え込んで、誰にも触れさせないままでいたら、その作品は本来届くはずのところまで届かないと思います。作品が成長するためには、試行錯誤を重ね、変化を受け入れていく姿勢が必要です。
もちろん、ひとつの作品を完成させたときの喜びは格別です。そして私は、作品が完成した瞬間、それは「私の作品」ではなく、ひとつの「作品」になるのだと思っています。うまくいけば、その作品は独り歩きを始めます。私が伝えたかった物語を受け取ってくれる人もいれば、まったく別の個人的な形で共鳴してくれる人もいるかもしれません。
実際、友人のひとりが私の最終提出作品を見て心を動かされたと言ってくれたことがあり、それは私にとってとても大きな意味を持つ出来事でした。自分の作ったものが、誰かの心にそこまで強く響いたと知るのは、本当に特別なことです。
アーティストには本質的に競争的な側面があると思います。何かを作るとき、そこには表現したいビジョンがあって、それをどう形にするかは最終的には自分自身で切り開かなければなりません。だからこそ、自分をもっと上へと押し上げようとするんです。
ただ、その一方で、自分より優れた作品を見て落ち込んでしまう人もたくさんいます。でも私は、そういうときこそ考え方を切り替えるようにしています。
「すごいな。いつか自分の作品も、きっとあのレベルに届く」
そう思うことで、自分を前へ進められるんです。
人生を通じた大きな目標は、いつかILM、Framestore、Wetaのようなスタジオで、クリーチャーまたはキャラクターモデラーとして働くことです。
短期的には、まず映画の仕事に就くことが目標です。この3年間、CMや小規模なクリーチャープロジェクトには携わってきましたが、やはり映画こそが自分にとって究極のゴールだと感じています。
まず第一に、親切であること。案外、メールでのやり取りのような、ごく基本的なことが大切だったりします。これまでの私の仕事はすべてリモートで進んできましたが、その中で出会った人たちは本当に親切な方ばかりでした。誠意を持って、相手を思いやりながら伝えることは、想像以上に大きな意味を持つと思います。
そして何より、作り続けること。自分のアイデアを形にし続けること。作品を見せてフィードバックをもらうことを恐れないでください。
以前、The Rookiesをきっかけに、3D World Magazineに自分の作品を掲載してもらう機会がありました。歌手Michael Kiwanukaのポートレートが見開きで掲載されたことは、今でもとても誇りに思っています。しかもその後、Michael Kiwanuka本人にその雑誌へサインをもらうことができて、本当に美しい巡り合わせだと感じました。
もうひとつ大切なことは、この絶えず変化していく業界の中で、スキルセットを広げていくことです。ベルトに道具を増やすように、より幅広いジェネラリスト的なスキルを身につけることで、自分が挑戦できる仕事の幅も広がります。特にAIが大きな注目を集めている今、創造性の未来は流動的で、変化の只中にあります。
世の中には本当にたくさんのアーティストがいて、応募しても返事すらもらえないこともあります。だからこそ、アーティストには自分自身をどう見せるか、自分の作品をどう世の中に届けるかを考える力も必要です。まずは、自分という存在を知ってもらうこと。そのための方法を見つけることです。
作り続けてください。前に進み続けてください。そうすれば、やがて少しずつ扉は開き始めます。
